無題Ⅰ

  • セックス.過剰エネルギゐの蕩尽.生殖という目的合理性の連環から逸脱した純粋なる<意味の欠如>.

 

  • わたしの愛すべき<意味の欠如>.愛すべきわたし/の.意味.rien.

 

  • 女性器に対する男性器の挿入という始原的暴力性.全ての始り.この全ての始り、<革命なるもの>を哄笑し、完膚なきまでに叩き潰さねばならない.始点と終点なき線分、線分を描く手に込められたエネルギゐの揺れ動きそのものを直観せねばならない.

 

  • 隣で寝息を立てる男の顔.のっぺりとした.特性なし.

では能面の様式はどこにその特徴を持っているであろうか。自分はそれを自然性の否定に認める。数多くの能面をこの一語の下に特徴づけるのはいささか冒険的にも思えるが、しかし自分は能面を見る度の重なるに従ってますますこの感を深くする。能面の現わすのは自然的な生の動きを外に押し出したものとしての表情ではない。逆にかかる表情を殺すのが能面特有の鋭い技巧である。死相をそのまま現わしたような翁やの面はいうまでもなく、若い女の面にさえも急死した人の顔面に見るような肉づけが認められる。能面が一般に一味の気味悪さをえているのはかかる否定性にもとづくのである。

和辻哲郎「能面の様式」、青空文庫より直接引用.強調部筆者.(https://www.aozora.gr.jp/cards/001395/files/49907_41924.html

 

  • 代替不可能性.「君なしで僕は生きられない」と<君>に呼びかける<僕>の眼差し.<僕>の眼差しを<君>から惹き付けてやまないもの、それは<君>という諸属性の束、万物のコラージュの一片に由来するのか、はたまた、あるいは、ええと、沈黙.

 

  • 語り得ぬものには沈黙せよ.汝告解する勿れ.

 

  • 一切合切が虚偽だ.清々しいほどに虚偽だ.就職活動にて面接官という神父に告解を求められ、口から出まかせの嘘をポップコーンの如く噴射する<わたし>.性的快感に身を捩らせ、女という憎々しい存在に徹する自分の姿を俯瞰する事に最高度の享楽を見出す<わたし>.<わたし>は道化であり、ペスト菌であり、女であり、<わたし>ではない.さようなら.