[夢日記]2019/07/06

夢日記

東南アジアの某リゾート地. 湿気が肌に纏わりつき,呼吸をする度に妙な不快感に襲われる.これが旅行なのか,はたまた出張なのかは定かではない.男を同伴させていたような気もするし,一人で現地に赴いた気もする.シラフであるような気もするし,何杯かラム酒のショットを喉に流し込んだお陰で気分が高揚しているような気もする.この場に自分がいる根拠の一切が欠落している.一切が分からない.

赤色の下地に黄色のハイビスカスが大きくプリントされたノースリーブのロングドレスを着用し,いかにも観光客らしい装いでホテルの中を漫然と散策していると,突然私の目の前に二人の少女が現れる.

片方の少女は,3歳程度であろうか.覚束ない足取りで,周囲をキョロキョロと見回している.真横には,彼女が好奇心に任せて何処かに行ってしまわないようにその手を強く握る小学校低学年程度と思しき少女がいる.姉であろうか.しかしながら姉にしては全く顔が似ていない.

しかし,である.私は気付いてしまった.年上の少女が身に纏っているドレスが私のものと瓜二つである事に.そして彼女のスッキリとした二重に妙な見覚えがある事に.彼に似ていた.彼.あの彼であったような,この彼であったような,その彼であったような.あれ,違うか.あれかこれか,あれもこれも.ここでも私の記憶は釈然としない.

 野生の勘であろうか.私はこの少女が自分の娘である事を瞬時に悟った.その彼女の口からは何の言葉も出てこない.年下の少女の手を握りしめた状態で,ただ私の目を直視したまま微動だにしない彼女.

本能的に恐怖を感じ,私はこの場から逃げようと必死で自分の脚に「動け」と命じる.このままでは殺されてしまう.逃げねば.そんな私を嘲笑うかの如く,私の脚は微動だにしない.私の心と身体は完全に接続不良状態に陥っていた.

得体の知れない恐怖感に全身を縛られ,眼前の少女と無言で視線を交わらせた状態のまま,どれぐらいの時間が経過した頃であろうか.

またもや唐突に一人の中年女性が現れ,少女らの隣に立ち,私に向かって堅い表情でこう語りかけた.

「貴女は彼女たちの母親ですよ」

「ああ,はい,そのようですね,まあ,そのように存じ上げております,ウフフ」

おい自分,ウフフじゃねえだろ.笑ってる場合じゃねえだろ.何ニヤニヤしてんだ.しっかりしろよ.壊れたように私は私に対して突っ込みを入れ続けるが,何故か笑いが止まらない.私は完全に崩壊していた.セルフコントロールとは無縁の世界よ,こんにちは.

そんな私の様子を見かねたのか,年上の少女は中年の女に向かってこう告げた.

「これが私のママなんですね」

そう言い放ち,彼女の顔が中年の女から私の方に向き直る.彼女もニヤニヤしていた.侮蔑を通り越した満面のニヤケがそこにあった.

流石私の娘だな,やるやんけ,といった感じの浅薄な感想が頭に浮かび上がるやいなや,ようやく私に待望のセルフコントロール感が舞い戻り,私の脚は私の言う事を懇切丁寧に聞く輩に成り下がってしまった.退屈な世界よ,ただいま帰りました.終.